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留置所黙示録

2014年3月末日児童ポルノ買春及び児童ポルノ法違反で家宅捜索されました。書類送検されたあと8月某日に傷害で逮捕されました。トップ絵はクジラックス先生からもらいました。※なお当ブログは犯罪の抑止のためのブログです※

僕と検事とヒラリークリントン

留置所に入れられた当初は突然すぎてびっくりして何も考えることができなかったが、床はカーペットであった。そしてエアコンは効いておりトイレは隙間があるにせよドアらしいものがあった。だがここは本当に監獄という文字を彷彿とさせるような場所であった。恐らく昔からあるのだろう。歴史の深さをがのぞき見えるような古臭さと居心地の悪さがあった。

何しろトイレが座っている席のすぐ横にあるのである。しかも扉がない。ここで大便などしたらとんでもない悪臭と不快が混ざるだろう。まだ朝だったためお腹の緩いやつがいたら大惨事になるに違いないと懸念したが幸いにもこの東京地検の檻に入れられたときは大便をする勇者は現れなかった。さすがに皆嫌なのだろう。もしも他人の視線など気にせず平然と大便をするものが現れたらまさに大悪党である。きっとそいつに対するあらゆる呪いの呪詛を思い浮かびそうだ。

さて詰め詰めになるくらい人が入れられた。皆年齢がバラバラだったが個人的な感想を言うと年齢層がやや高めだったのを覚えている。その中で覚えていたのは数人いて1人は年が60代頃だろうか飲み屋で1人で酒を飲んでくだを巻いてそうな親父だった。入る際にどこの場所から来たか警官が連呼するが、この親父は白金台から来たそうだ。

高級住宅地と評判の地名だがどう見ても貧相な親父にしか見えなかった。この親父は何が面白いのか1人でニヤニヤしており「糖尿なのにこんなところに閉じ込められたらかなわんわ」と呟いていた。そしてもう1人は空手でもしていたのだろうか、とてもごつい体をした40代くらいの中年だった。この中年と先ほどの親父は何度か東京地検に来たことがあるのだろうか。たまにコソコソと話し合って見回りの警官に「私語はしないこと!」と注意を受けていた。またどういうルールなのか分からないがたまに違う檻から人が来たりしていた。その中の1人が若い兄ちゃんだったが全身刺青でこれ以上描く場所がないのじゃないかというくらい肌の色がカラフルだった。

刺青を普段まじまじと見る機会がないのと暇だったからこの兄ちゃんの刺青を見ていたら目が合った。ガンでも飛ばされるのかなと思ったらニヤリと笑われたのを覚えている。

この中にいる連中はそれぞれ生い立ちや思想や考えなど違うだろうが一つだけ共通点があった。ルールを破ったもの。悪党ということだ。

自分で言うのもあれだったが正直この中にいるのは辛かった。椅子は固く狭い部屋で大の大人が10人以上閉じ込められ暇を潰すものが何もない。地検にはその日の東京中の逮捕されて2日目のものが集まって彼らが全員検事に取り調べを受けないと返してもらえないのだ。

本当にすることがないからかつて幸せだった思い出を思い出して妄想に浸ってみたが、それでも時間は全然経たず昼にもなっていなかったことに絶望していたのを覚えている。

正午くらいにようやく昼飯が来た。取り調べの時に渡されたコッペパンとマーガリンのジャム、そして白湯だった気がする。本来ほかの人の体験談などを見るとこの際は手錠を半分外して片手錠で食べれると書いてあったが、何故か僕の時は手錠をしたままであった。

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手錠というものは思ったより頑丈で、待っていて暇なときにもしや自分には本当は隠された力があり能力に目覚めた僕はこの手錠を見事に引きちぎることができるという妄想をして思い切り手と手を引っ張って見たがもちろん引きちぎれることはなく頑丈さだけを思い知った。長年の工夫を重ね人を拘束するために作られた道具なのだろう。

ただ僕は手首が細いこともあり輪っかの部分を外そうとしていたら本当に外れかけて焦った記憶がある。たまに僕みたいに遊んでいる奴がいたのか手錠を締め直されて辛そうな表情を浮かべているのを見た。

さて手錠で遊んだり妄想に浸ったりしていたら「○○警察署18番!」と僕がいた警察署と番号を呼ばれてようやく出ることになった。出る際は当たり前だが腰縄をつけて前後に警察がついてきて無機質な廊下を歩いたり検察室は上階にあるのだろうかエレベーターで上の階まで連れて行かれたりした。検事調室に入ると書記?のような女性とメガネをかけたいかにも生真面目そうな男が座っていた。どうやらこの生真面目そうな男が検事だそうだ。検事の机の向かいにあるパイプ椅子に座りこの忌々しい手錠が外された。
となりには連行した警察官が1人腰縄を持って座ってた。そして検事に取り調べを受けることになった。

最初の警察との取り調べで送った文章が検事にも来ているらしく、内容は大体把握していたようだ。そして殴ったという事実を僕も認めているためここはスムーズに進んだ。

その際駅の防犯カメラで僕が走っているところを見せられ僕かどうか確認されたがかなり鮮明に写っていてびっくりしたのを覚えている。

だが1点検事が納得いかないらしいところがあったらしくそこを厳しく突っ込まれることになった。

「このさあ、電車の中で殴られそうになったから君が殴ったというのは嘘でしょう。本当のことをいいなよ」

「いや、本当でして酔っていたのもあり相手が恫喝してきたので殴られそうになったから手が出ました」

どうやら正当防衛の可否について検事は聞きたいようなのだ。正当防衛と障害は似ているようで大きな差がある。事件の内容的に起訴されることは少ないが、もし起訴されることになればここが裁判の争点になるのだろう。だから検事はここは何が何でも正当防衛を認めさせたくなかったらしい。

「僕がさあ、例えば君の知り合いかなにかだとする。それで世間話でそう話されたらなるほどなとは思うよ。でも仕事として聞いたならそれは納得できやしないよ」

ごもっともである。恐らく僕が検事の立場でも同じことを言うだろう。だが、それと同時に正当防衛というのは思った以上に認められにくいことがこの時分かった。

「いや、だからこの日はお酒を飲んでおりまともな思考が出来なかったためこのような行動に出たんですよ」

正直殴られたという相手は必要以上に恫喝をしたのは事実だしそもそも最初にわざと人の腹に拳を叩き込んだのも事実だ。

「じゃあそのお酒を飲んだせいで理性が外れて普段したかったことをしたんじゃないの?」海千山千の悪党と話し合ってきたのだろう。何を話してもこちらが嘘を言っているのではないかと強く疑っていた。疑われてばかりでこちらも腹が少し立ったので屁理屈をいうことにした。

「検事さんの理屈だと飲酒運転で事故をする人は事故をしたいという願望が普段からあるわけなんですかね」

こう言うと検事は少し詰まったような表情を浮かべ「いや君それとこれは理屈が違うでしょ」と少し困惑したように話した。

「いやでも検事さんの理屈だと酔うと人の本性が出るんですよね。じゃあ飲酒運転で事故った人も普段から事故りたく仕方ないんですよね。大変だなこれは」

屁理屈もいいところで時代が時代なら生意気を言うなと袋叩きにあっていただろう。少しの間沈黙が起きたと思ったら検事のデスクの上にある電話が鳴り始めた。

「あ、ちょっと良いかい。失礼」

そう言うと検事は電話を取り誰かと話し始めるがその内容が面白かった。

「うんうん。え?彼は正常に見える?違うんだ。彼はまともに見えるんだが本当は精神の異常者なんだ。何かがあると僕はヒラリークリントンの息子なんですがと言ってそれを人から指摘されると黙ってしまうんだが、本当は精神に異常があると思っている。だから彼には精神鑑定の必要があるからその方向で頼むよ」

そう言うと「いや済まないね君」と言って電話を置いた。正直僕の取り調べよりこの自称ヒラリークリントンの息子と名乗る精神異常者がどのような犯罪をしたのかが気になったのだが、聞いたところで教えてくれないだろうから「いや大丈夫です」とだけ返した。

その後は同じような取り調べを受け少し雑談をすることになったが「いやあ君は話せば普通の人に見えるんだけどね。何でこんなところに来たんだい」とややフランクに話してきた。先ほど檻の中にいたようなニヤニヤしているおっさんや全身刺青のお兄ちゃんと比べると日本語が通じるたぐいなのだろう。この時検事の日々の仕事の辛さが垣間見えた。

時間になったのかもう聞くことはないと判断されたのか檻の中に戻されることになった。

檻に戻るとまた違う顔ぶれの人間がいて目の前に座っていた若い兄ちゃんの着ていたジャージにKEIOと書かれており何でこんなところに慶応大学のやつがいるのだろうか、学歴でもアピールしたいのかなと考えていたらほかの人の取り調べも終わり帰ることになった。

「逆送!!!!!!!・点呼!第○系統、○○署○名→(確認)→○名よしっ!」

朝来た時と同じくらい野太い声を上げる警察が点呼を取りまたムカデ人間の真似をして護送車に乗り込んだ。バスの中を見ると同じ留置所にいる19番もいた。心なしか彼の顔もぐったりしているように見えた。きっと僕の顔も同じように疲れ果てているだろう。時間を見ると17時頃だった。

人生でTOP3に入るくらい長い1日を過ごした。

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