留置所黙示録

2014年3月末日児童ポルノ買春及び児童ポルノ法違反で家宅捜索されました。書類送検されたあと8月某日に傷害で逮捕されました。トップ絵はクジラックス先生からもらいました。※なお当ブログは犯罪の抑止のためのブログです※

国選弁護人は有能か無能か

前回のあらすじ

東京地裁に行って裁判官から保釈をもらえるチャンスと思っていたが、裁判官が女で肩に黒色のブラ紐があってそれを見ていたら拘留延長を食らった。

 

記憶がやや曖昧だが東京地裁の待合所みたいなところで保釈(留置所から出れること)が決まった人は数人と数える程しかおらずほとんどがその場を座ったままだった。この後どうなるのかと思っていたら国選弁護人を頼める人について説明があり番号を呼ばれることになった。留置所に入って初めて外部の人と会うことができるのである。

ちなみに国選弁護人は懲役3年以上の刑に処せられる犯罪でしか依頼することができない。しかも国選弁護人に依頼すれば国が補助金を出すからか無料で行動してもらえる。一般的に弁護士に依頼すると着手金30万、成功報酬30万とあるからかなり経済的にお得だ。もしこれが暴行罪だったなら懲役2年程度の刑になるため国選弁護人には依頼できない。なので自費で雇うしかないから傷害罪で良かったと思うかもしれないが、恐らく相手が怪我をしていないただの暴行罪なら逮捕の可能性はかなり低かったと思われるのでお得と言っていい物か分からない。

さて先ほど裁判官に会うために行った通路の逆方向に弁護士がいる部屋があった。救われぬ哀れな子羊たちを救うのは有能な弁護士か無能な弁護士か。皆神妙な顔つきをしていた気がする。何しろ担当する弁護士次第で罪の重さが変わることがあるのだ。残された最後の希望の場所がこの国選弁護人かもしれない。

弁護士とは一般的にロー試験を通過しなければならない。だから本来なら全て優秀なはずなのだが、近年のロースクール成立による弁護士の過剰供給などがあり優秀じゃない弁護士も増えてきたと言われている。また優秀な弁護士は基本的に刑事事件をあまり担当したがらない。そして国選弁護人は優秀じゃない人が多いと一般的に聞く。なぜならば優秀ならば自分で事務所を抱えて客をとっているからだ。

また弁護士は法律の知識だけでなく例えば今回のような傷害のような事件なら相手との交渉力というのが強く求められる。そのため勉強だけしか出来ない弁護士だと不安だなと何となく思っていた。

弁護士がいる部屋も幾つかドアがありその中に国選弁護人がいた。ドアを開けると先ほどの裁判官がいる部屋とは違いアクリル上のガラスのようなもので途切れていた部屋の奥に弁護士が座っていた。後ほど留置所で面会室のようなところに度々行くことになったが、今回の国選弁護人と合った部屋は面会室に似ていた。

さてそこで出会った弁護士はT森さんが言っていた女の弁護士ではなかった。そのため正直少しがっかりしていた。見た目は生真面目そうでメガネをかけておりまだ若かった。ロースクールから出て数年も経っていないだろう。この手の交渉事が必要な事件に人生経験があまりなさそうな若い弁護士で大丈夫なのかと不安になったが、国選弁護人である。無料であるためワガママを言える身分ではない。とにかく僕はこの目の前にいる真面目そうな国選弁護人に全てを委ねるしかなかったのだ。

 「初めまして弁護人の○○と言います。○○さん(僕の名前)の事件について担当させていただきます」

そう言うとすっとガラスの下の少しだけものが入る隙間から名刺を渡された。名刺を見ると事務所の名前とその弁護士の名前が書いてあった。

「まず事件のことを知りたいので正直に話してもらえないでしょうか。内容次第で弁護方針が変わりますので本当のことを話してください」

これは被疑者の権利なのだろうか、普段はずっとそばにいる警察官がこの時だけはいなく話しやすい空間であった。とりあえず僕は駅でトラブルになったこと、先に殴られたため後ほど電車の中で殴ったこと。その時トラブルの相手から先に喧嘩を売られたことなどを話した。

「それならその殴った方と示談を進めていく方針が一番いいですね。後ほかには何か前科や前歴等はありませんでしょうか」

正直ちょっと言いにくかったが、児童ポルノのことを説明した。ネットでブログをやっていたら児童ポルノの画像がひっかかり神奈川県警に取り調べを受けて書類送検されたこと。罰金等の前科はないことを説明した。

「じゃあ特に今回の件と似たような前歴はないわけですね。分かりました。○○さんは会社勤めですよね。なるだけ早めに解決できるよう尽力します」

そう僕は会社に勤めている。正直この段階で3日目だったがクビになるか初めてこの時考えさせられたわけだ。家に連絡は行っているのかとか様々な悩みがぐるぐる回り始めた頃外の警官がドアを叩き「時間です」と僕を外に連れて行くことになった。

時間的には5分程度だろうか割とすぐに出たのを覚えている。見たところ国選弁護人がいる部屋は3つほどだった。そこに100人近い捕まっている人が相談に来るわけだから流れ作業になるのも仕方ないかもしれない。僕はもらった弁護士の名刺をお守りのように持っていたのを覚えている。

裁判所で待っているあいだに事件関係なのか分からないけど書類を大事そうに持っていた 若いお兄ちゃんの気持ちが少し分かった気がした。一度捕まると自分の所持品はかなり制限される。きっとあの書類の中にも弁護士の名刺だったり色々入っていたのだろう。

さて僕以外にも国選弁護人と話した被疑者達が戻ってきて帰ることになった。帰りの護送車に乗りまたいくつかの警察署を回って自分が捕まった警察署に戻った。すると護送車の中に19番の彼が残っていた。どうやら釈放されなかったらしい。留置所に入る前に身体検査をする必要があり小部屋に通されるのだが、そこに入ってからはだいぶ監視が緩くなるから少し世間話をすることにした。

「釈放されなかったんだ?」いきなりタメ語で話しても大丈夫かなと思ったけど特に気にされずに返事をくれた。

「ええ、まあ」

「いやーずっと座っていたから疲れたよね」そう言うと笑顔で「いやーもうクタクタです」と好意的に返してくれたので彼が何で捕まったのか聞いてみることにした。

「そういや何の罪で捕まったの?」そう聞くとニヤリと笑いながらこう言われた「恐喝です」やはり捕まるだけあるのだろう。見た目フットサルとかが趣味にしか見えない茶髪のお兄ちゃんでも何かしらの犯罪をしているわけだ。

その後すぐに警察がやってきて自分の房に戻った。今日はチコリータと騒いでいた兄ちゃんはタオルを顔に置いて横になっていた。

T森さんはやっぱり戻ってきたかという顔で僕を見ていて少し地裁のことを話して裁判官が女だったことを話したら「ふーん」と薄い反応をされたのを覚えている。

夕食が終わってそろそろ就寝の時間になったから寝る前の準備をしようかと思っていたとき「18番弁護士の先生が来たぞ」と留置課の警官が来た。

さっきの国選の弁護士の先生がもう来てくれたのか仕事できるなあと思って行ったら違う弁護士の先生だった。その先生は昔法律の無料相談に乗ってもらったとき名刺をくれたから財布に入れていたのだが、留置所に入る前にたまたまそれを見つけこの先生を呼んでくださいと頼んだのだった。

「いやー○○さんこんなところで見たくなかったですよ」

ずいぶん前に相談したけど僕の顔を覚えていたからか笑顔で話された。僕も久しぶりに会えて懐かしさがあった。この先生(I先生と仮名)は法テラスで相談したとき以来だったが交渉事に強そうな雰囲気だったのを覚えている。事件の内容を説明すると「示談にするしかないですね」と皆と同じことを言った。

「私ならすぐにまとめれる自信ありますよ」そうI先生は言った。頼もしい一言だ。だけどと前置きをしてこういった「私に依頼するなら着手金が20万円、そして成功報酬、示談の代金をいただく必要があるんですよ」前回は法テラスで相談したため着手金が必要なかったが、今回は正式な依頼ということになる。I先生が掲示した金額はぱっと僕には出せないものだった。とりあえず国選弁護人にも頼んだので考えを保留させてくださいと言った。

僕が房に戻るとT森さんから「お前私選頼んだの?」と聞かれた。ちょっと金額的な問題があるので迷ってます。と言うと「やっぱり私選の方がいいよ。だけどあいつら高いんだよな」そう寝転びながら言ってきた。

「T森さんは私選なんですか?」そう聞くと「いや俺も金ないから国選だけどあいつらほかにも依頼人多いからかあまり来ないんだよな」と言われた。やっぱり私選の方が良かったのだろうかそう思い寝ようと思ったら「18番国選の先生が来ているぞ」と警官が来た。

時間は夜の12時頃だろうかどうやら弁護士はいつでも面会に来ることができるらしい。

「お待たせしました。まずは弁護方針についてですがとりあえずお母さんとは連絡がつきました」

思ったより仕事が早いじゃないかと僕はこの国選の弁護士(以下K先生と呼ぶ)を見直した。K先生はほかにもこのような形で留置所に向かっていたのだろうか、整っていた髪型が汗でぺったりとくっついていた。だが喜んだ状況と裏腹に言われた言葉は必ずしも好ましいことではなかった。

「まず状況ですが、あまりよくありません。会社にはあなたが捕まったことがバレてしまったそうです」

第一声がそれだった。どうやら勤務先に僕が逮捕されたことはもう伝わったそうだ。正直逮捕をされた日から数日はたまたま休暇を取っていたため会社に伝わらないでくれと願っていたがそうは上手くいかなかった。

「会社の方とは明日こちらから連絡を取らせていただきます。急に○○さんが来なくなってパニックになっているそうです」

どうやら現状は母と連絡が取れたことと会社に僕が捕まったことがバレたらしい。被害者への接触はまだだそうだ。好ましくない現状を話されてどう返していいものか困っていたところにさらに追い討ちをかけるようにこう言われた。

すいません。これも言い忘れていましたがあなたのお母さんに児童ポルノで捕まったことを言ってしまいました

「はあ?」

「お母さんと話ししたとき以前トラブルになったということをお母さんが言っていたのでそれを児童ポルノの件と勘違いして児童ポルノのことですよね?と言ったらお母さんはどうやら知らなかったらしくちょっと齟齬が生まれてしまいました」

こちらの伝達ミスもあったがまさかこう軽々と人の個人情報を親に言うとは思わなかった。

無能。

心の中でとある弁護士の顔が思い出された。

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(画像は無能 弁護士で検索したもので特定の団体、人物、職業の誹謗中傷の意図はなく、また過度の礼賛をしたり神格をする意図もありません)

この弁護士で大丈夫なのだろうか。留置所に居を構えてから4日目を迎えたが暗雲が立ち込めてきた気がした。

 

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